【II.-3.】 糖尿病とインスリン(2)――ラ島内分泌ホルモン
糖尿病はインスリン(インシュリン)の分泌不全によるものですが、インスリンも含めその他のランゲルハンス島内分泌ホルモンについて、その機能を整理しておきましょう。
まず、ラ島内【α細胞】で分泌される【グルカゴン】について。このホルモン分泌の信号となるのは、血糖値の低下です。血液中のブドウ糖濃度が下がることによって分泌された【グルカゴン】は、【肝糖新生】を助長します。【肝糖新生】とは――第1章第4節「糖尿病とは」でも少し触れましたが――肝臓自体が同器官内に蓄積したグリコーゲンをブドウ糖に変質させ、血液中に放出する作用のことです。低血糖に対しては、ブドウ糖の経口投与の他に【グルカゴン注射】が試みられます。
さて、ラ島【β細胞】で分泌される【インスリン】が糖尿病と大きく関わるポイントです。グルカゴンに対してインスリンは、血糖値を減少させるベクトルへと作用します。その仕組みを抑えてましょう。タンパク質で構成されるインスリンは、【肝臓】・【骨格筋】・【脂肪組織】に向けて、【ブドウ糖】・【アミノ酸】・【カリウム】を取り込むよう働きかけます。他にも、【グリコーゲン】の合成を助長する一方で、分解を抑制する方向にも働きます。また、【脂肪】・【蛋白】の代謝にも作用します。すなわち、血液中のブドウ糖濃度が抑えられることになります。また、体内で血糖濃度を下げる作用を司る唯一のホルモンがインスリンです。この点は、糖尿病発症との兼ね合いを知るうえで、非常に重要な知識です。
ラ島内分泌ホルモンについては、いま一つ、【δ細胞】が分泌する【ソマトスタチン】についても簡単に触れておきましょう。ソマトスタチンは、比較的最近…1973年に発見されたホルモンです。【脳視床下部】でも分泌されますが、ラ島では【インスリン】・【グルカゴン】双方の生成・分泌を抑制する方向に働きます。
さて、糖尿病へと至るインスリン分泌不全には、幾つかの経路があります。次に、罹病経路のタイプとその特徴についてみていきましょう。
