【III.-1.】 はじめに
糖尿病自体の症状としては――すでに第1章第5節で紹介しました――概ね、頻尿・慢性的な喉の渇き・吹き出物・体臭・尿臭・肉体疲労・精神虚弱(だるさ)・昏睡…といったことが列挙されます。
これらの限りでは、糖尿病の恐ろしさに遜色があるようにも見て取れます。では、なぜ【生活習慣病】とも呼ばれ、社会的にも頻繁に議論の俎上に載せられているのでしょうか。怖さのポイントは、糖尿病患者の9割を占めるといわれている【II型】=【インスリン非依存型】の発症は、多くのケースにおいて個々人の食生活や生活習慣に帰せられうることと、罹病の際に自覚症状に気付きにくいということに加えて、様々な【合併症】を誘発するというところにあるのです。とくに【腎症】・【網膜症】・【神経障害】が、いわゆる【三大合併症】として恐れられています。
【糖尿病性合併症】が、なぜ恐ろしいかというと、多くのケースにおいて、完治に難を要する、あるいは完治の見込みがないという病状に陥るためです。命に係わることも稀ではありません。そうでなくとも、満足な飲食が叶わない生活を強いられることになります。糖尿病予防に向けた啓蒙は、この合併症の実態を周知することで一種の「威嚇効果」を発揮するといえましょう。本章では、合併症の詳細を追っていきます。
