【III.-12.】 その他の糖尿病性合併症(1)――動脈硬化
糖尿病には、【三大合併症】の他にも顕著な随伴症状があります。【動脈硬化】がその例です。健康な人に比べ、糖尿病患者さんの発症率が高いといわれています。日本の【三大成人病】――第1章冒頭で紹介しました――には、【心疾患】・【脳疾患】が数えられます。【狭心症】・【心筋梗塞】・【脳梗塞】・【脳出血】・【脳卒中】などですが、【動脈硬化】が密接に関係してくるところです。前々節で説明した足の【壊疽】症状も動脈硬化が関係しています。
糖尿病と動脈硬化との連関においては、【高血圧】・【喫煙】・【加齢】・【ストレス】なども、一定の役割を果たしていますが、【肥満】も大きな【危険因子】とされています。いわゆる【メタボリックシンドローム】と最近では呼ばれていますね。【内臓脂肪】が大量に蓄積されると、血液中にその脂肪分が放出され、血中の脂肪濃度が上がる一方で、体質は【インスリン抵抗性】を帯びるベクトルへと作用します。このことが、糖尿病を発症する契機ともなりうるわけです。
さらに近年の研究では、【脂肪細胞】それ自体が分泌する【アディポサイトカイン】の特殊な働きが解明されているところです。【アディポサイトカイン】とは、脂肪(アディポ)細胞が分泌する【生理活性物質】のことです。アディポサイトカインには、【善玉】と【悪玉】がそれぞれあります。【善玉アディポサイトカイン】は【アディポネクチン】と呼ばれる物質で、動脈硬化や糖尿病を予防するベクトルに作用します。一方、悪玉の【PAI-1】・【TNF-α】といった物質は、逆に動脈硬化や糖尿病の引き金となる働きをします。
本来、それぞれのアディポサイトカインは拮抗状態を保っているのですが、内臓脂肪が大量に蓄積されると、このバランスが崩れ、善玉分泌が減少し、悪玉が過剰に生成されるのです。生活習慣と糖尿病・動脈硬化の相関を示す好例であるといえましょう。
