【III.-3.】 糖尿病性腎症(2)――発症のメカニズム
糸球体が司る血液の濾過作用では、血球や蛋白は濾し取られないような仕組みになっているということでした。この仕組みに不調をきたし、蛋白が尿として排出されるようになると、いわゆる【腎症】を発症した状態となるわけです。
では、どのようにして糸球体の機能は不調を来すのかということについてですが、高血糖にある状態では、血管障害をも引き起こすということに理由があります。前節で申し上げたとおり、糸球体は毛細血管の集合体です。血糖濃度が高い血液が慢性的に流れ込むと、濾過作用が失調を来すことになるのです。それゆえ、糖尿病は腎症の引き金となりやすいのです。このタイプ合併症のメカニズムは、後に紹介する糖尿病性網膜症においても同様です。
なお、蛋白が流れ出た尿は、【蛋白尿】と呼ばれます。蛋白尿が多くなればなるほど、血液中の蛋白値は下がり【浮腫】・【高血圧】といった症状が現れやすくなります。また、蛋白が流れ出るのと相反して老廃物の排出作用が低減すると、糖尿病性腎症は、さらに【腎不全】・【尿毒症】も誘発することになるのです。
加えて特筆すべきは、糖尿病に由来する腎症が【慢性腎不全】へと移行するケースが近年、急増傾向にあることです。人口透析を余儀なくされる患者さんの数は、10年前には5000人前後だったのですが、現在ではおよそ3倍に増えています。なかでも、糖尿病性腎症が最大のウェイトを占めています。
【慢性腎不全】は、腎臓がほぼ機能しない状態です。命に係わる病気です。生きるためには、【人口透析】を続けるか、【腎臓移植】を行うかの選択を強いられます。このようなことにならないためにも、糖尿病は早期発見とともに、適切な治療を受けることが求められます。つまるところ、やはり定期的な健診に尽きると考えられます。
